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精神病の病態を示している神経症

精神病の病態を示している神経症

神経症は、たとえその症状が長期間持続し、一見重症なものであっても、原則として、障害認定の対象とはなりません。ただし、障害認定基準は、その臨床症状から判断して精神病の病態を示しているものについては、認定の対象となりうる旨、規定しています。では、「精神病の病態を示している」神経症とは、具体的にはどのような場合でしょうか。以下に、当事務所の支援による受給例と裁決例を紹介します。

事例15:精神病の病態(うつ病)を示す強迫神経症で受給

 笹岡さん(仮名 50代女性)の夫から、次のような相談を受けました。「妻は戸締りを何回確認しても不安で、強迫神経症と診断されました。障害年金の手続きの支援をお願いします。」

 認定基準は、「神経症は、その症状が長期間持続し、一見重症なものであっても、原則として、認定の対象とならない。ただし、その臨床症状から判断して精神病の病態を示しているものについては、統合失調症又は気分(感情)障害に準じて取り扱う。」としています。

 笹岡さんにお会いして話を伺いました。「最初は鍵閉め確認から始まりました。手洗い、電気・ガスのON/OFF、洗濯、掃除、炊事とどんどん確認の対象が増えました。自分でも頭では『本当は鍵は閉めた』とはわかっているのですが、それでも、何回も何回も確認しないと不安で、次の行動に移ることができません。自分ひとりでの確認では安心できなくなり、昼夜かまわず夫にも一緒に確認してもらわないと気がすまなくなりました。日常生活に大きな支障が出たため、精神科を受診しました。しかし、お薬をのんでも一向に確認行為はおさまりませんでした。戸締り確認に疲れ果て、そもそも戸締り不要にするために外出をしなくなりました。家中が清潔であることの確認も苦しいので、自室に一日中ひきこもるようになりました。仕事帰りの夫に家事を全部任せっきりになってしまい、自己嫌悪感が強まりました。」

 強迫観念による気分の落ち込みや強迫行為を避けようとして引きこもるといった行動が、うつ病の発症につながりやすくなっています。強迫観念による恐怖や不安は大きくなり、それを解消するための強迫行為にかかる時間はドンドン増えていきます。そして、次第にあらわれる日常生活での支障や家族・友人とのトラブルが自責の念につながりうつ病をまねくのです。強迫性障害という病気が原因と理解できても「一生治らないのではないか?」という絶望感がうつ病につながるケースもあります。

 主治医の佐々木先生に、「神経症は認定の対象とならない」ことをご説明し、次のような記述がある「診断書記載要領」をお渡ししました。「①「障害の原因となった傷病名」欄に神経症圏(ICD-10コードがF4)の傷病名を記入した場合であっても、「統合失調症、統合失調症型障害および妄想性障害」または「気分(感情)障害」の病態を示しているときは、その病態とICD-10コードを記入してくいださい。」

 佐々木先生は、診断書に「強迫性障害(F42)、うつ病エピソード(F32)」と記載してくださいました。うつ病エピソードは、気分(感情)障害の一種です。その結果、笹岡さんは障害基礎年金2級を受給されました。

 後日、笹岡さんの夫は、ご本人の近況を報告して下さいました。「『パートで働かなければ』という不安から解放されたおかげで、鍵閉め確認などの強迫症状がマシになりました。」

平成22年5月31日裁決(平成21年(厚)404号)

障害認定基準は、神経症については、精神病の病態を示しているもののみを障害等級に該当する障害として扱う旨を定めている。ここにいう「精神病の病態を示しているもの」の意味としては様々なものが考えられ、自己治癒可能性が高く疾病利得があるような段階のものを除外するという見地からは「統合失調症ないしそううつ病と共通の臨床症状に限らず、精神疾患が示す臨床症状を呈し、それによる精神障害の程度が「精神病水準にあるもの」を指すと考えるべきではないかと思われるが、請求人が罹患している「強迫性障害」(それは、反復する強迫思考あるいは強迫行為を基本病像としており、強迫性人格障害(こちらは、順序立て、完璧癖、制御へのとらわれなどの広範な様式が見られ成人期早期までに始まるのを特徴とし、強迫観念又は強迫行為の存在を特徴としない)とは全く別個の疾患である。)については、単に心の問題や心理的な基盤に立つ疾患ではなく、セロトニン代謝異常と、心理的な要因やもともと患者が有している脆弱性、体質などとが関係して発症する、うつ病などの内因的精神病と同一のグループに属する疾患であるとの見解も有力視されつつある。
 請求人の場合、平成9年頃から不潔、確認恐怖といった当該傷病による症状(5~6時間又はそれ以上にわたる入浴や手洗い)を訴えるようになり、平成15年8月に精神科を受診し、うつ病治療薬であるセロトニン再取り込み阻害薬であるパキシルの服用によって一時的に症状の改善を認めたものの、その経過は10年以上に及び、生来の知的障害という脆弱性もあって、自己治癒可能性に伴う葛藤もなくなっているのであるから、神経症の本質である自己治癒可能性がきわめて疑わしいといわざるを得ない。
 したがって、請求人の強迫性障害は、障害給付支給の対象たり得る傷病というべきである。(結論として、2級該当と認定)

その他の具体例

① 幻聴・妄想を伴う解離性障害

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