運営:鈴木健司社労士・精神保健福祉士事務所
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発達障害は、生まれつきみられる脳の働き方の違いにより、幼児のうちから行動面や情緒面に特徴がある状態です。そのため、療育者が育児の悩みを抱えたり、子どもが生づらさを感じたりすることもあります。発達障害には、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症(ADHD)、学習症(学習障害)、チック症などが含まれます。同じ障害名でも特性の現れ方が違ったり、いくつかの発達障害を併せ持ったりすることもあります。
自閉症は3歳以前に現れる発達障害で、①相互的社会的関係の障害(視線を合わせない、笑わない、他人への関心が乏しい、共感性がない)、➁コミュニケーション能力の障害(言語機能の発達が乏しく、抑揚がない一本調子の話し方や反響言語⦅オウム返し⦆がみられ、言語をコミュニケーションの道具として使用することに難がある)、③限局した反復的な行動・執着的な行動(状況の変化を極端に嫌い、反復性の常同的な行動がみられる、行う順序や特殊な決まったやり方に固執する)の三つを大きな特徴とする。男児に3~4倍の頻度で多くみられる。
各発達時期にみられる特徴は、幼児期には、例えば視線が合わない、他人に興味がない、呼んでも振りむかないなど、児童期には、身体を同じパターンで動かし続ける、身体に触れられることを嫌がる、ページめくりを繰り返す、思春期には、抑揚がない話し方をする、難しいことばを意味がわからずに使う、他人の気持ちがわからないなどがある。
幼児期からの他の特徴として、物事の本質ではない事柄、例えば、道具のにおいや感触に特別の関心を示す(感覚の偏り)。偏食(感触を楽しむ)や味覚に対する過敏反応がある。回転する物に執着する。指差しができず、他人の手を使って対象物をとらせる(クレーン現象)。さらに感覚の過敏性がみられ、状況によって不安やパニック、睡眠障害、不機嫌や攻撃がみられる。いやな過去の場面が突然思い出されて、静かな環境でパニックも生じる(記憶想起現象)。運動面では、協調運動の拙劣さ(歩行や姿勢のぎこちなさ、手先の不器用さ)がみられることが多い。言語面では、いったん獲得した有意味語(パパ、ママなど)が2歳前に消失するという、折れ線型経過が3分の1の者にみられる。その後、消失した有意味語が再獲得されない場合もある。
4分の3では知的障害を合併し、脳波異常やてんかんの合併も健常児・者に比べると多い。重度の知的障害者では、パニック時にしばしば手首をかむ、頭を打ちつける(バッティング)などの自傷もみられる。一方、知能が正常な場合は、高機能自閉症という。アスペルガー症候群にみられるような「場の空気の読めなさ」から、学校ではいじめられ疎外され、青年期以後にさまざまな二次的な精神科的問題(ひきこもり、衝動性の亢進など)が生じうる。
他人には心があり、自分とは違う考えがある(心の理論)という自明のことが理解しにくい。成長や療育によってある程度の情感や社会性を身につけていくことは可能だが、対人的相互関係の乏しさやコミュニケーション力のなさ、興味の狭さというパターンは成人に達しても持続する。視覚優位の能力があるので、言語よりも絵や記号、図を利用して援助するとよい。
自閉症のように相互的社会的関係の障害と、興味や活動の範囲の極端な狭さが目立つが、一方、言語の発達あるいは認知の発達には遅れがみられない一群をアスペルガー症候群という。多くは知的に正常である。
言語機能に低下はないものの、言葉のやり取りに際して同調性の乏しさや相互性の欠如がみられる。例えば相手の会話の文章をその字義通りにとって、文字の背後にある情緒的な情報に気づくことができない(字義通り性)。相手の目をみて話すことや、自然に抑揚を交えて反応することも自閉症者と同様にできない。さらに具体的には、以下の特徴がみられる。①他人の気持ちや事情を考えず自分のペースで行動する、➁自分が関心があることは他人も関心があると思い、一方的に行動する、③社会の暗黙のルールがわからず、知らない人や初対面の人に心理的距離をとらず話しかける、④適度なウソがつけず、対人関係を壊してしまう、⑤考えていることや相手の言ったことをそのまま小声でつぶやく、⑥意味がわからないのに、抽象的で難しい言葉を使いたがる、⑦特定の興味のある物を収集する、⑧運動機能の不器用さや協調運動の拙劣さ、⑨感覚の過敏性もしばしば目立つ。
柔軟性に欠け、臨機応変に物事を処理していくことができないため、いつもとは違う事柄に出会うとパニックを起こしやすい。
自閉症とアスペルガー症候群との違いは、言語や認知の発達の遅れがあるか否かによるが、その境界は不鮮明である。生活上の困難さを把握し援助をする際に、わざわざ両者を区別する必要性は乏しい。そのため両者を含むより広い概念、すなわち自閉症スペクトラムという概念(スペクトラムとは連続体という意味である)が用いられるようになっている。
★子どもの症状
●多動性
座っているべきときに落ち着いて座っていることが難しい
遊びや余暇活動におとなしく参加することが難しい
過度におしゃべりをする
●衝動性
質問が終わらないうちに出し抜けに答えてしまう
順番を待つのが難しい
他の人がしていることをさえぎったり、邪魔したりしてしまう
●不注意
勉強などで不注意な間違いをする
課題や遊びの活動で注意を集中し続けることが難しい
興味のあることには集中しすぎてしまい切り替えが難しい
話を聞いていないようにみえる
課題や活動を順序だてて行うことが難しい
同じことを繰り返すのが苦手
必要なものをなくしてしまう、忘れっぽい
注意が長続きせず、気が散りやすい
★大人の症状
●多動性
会議中あるいは仕事中(授業中あるいは勉強中)に落ち着かず、そわそわしてしまう
貧乏ゆすりや机を指先で叩くなどのくせがやめられない
家事をしているときに、別のことに気を取られやすい
おしゃべりに夢中になって家事を忘れてしまう
おしゃべりを始めると止まらない
自分のことばかりしゃべってしまう
●衝動性
会議中(授業中)に不用意な発言をしてしまう
思ったことをすぐに言動に移してしまう
衝動買いしてしまう
言いたいことを我慢してイライラする
衝動的に、人を傷つけるような発言をしてしまう
ささいなことでもつい叱責してしまう
●不注意
会議や仕事(授業や勉強)に集中できない
仕事(課題)に必要な物をなくしてしまう、忘れる
仕事(課題)の締め切りに間に合わない
仕事(課題)を最後まで終えることが難しい
仕事(課題)でケアレスミスがよくみられる
部屋が片付けられない
外出の準備がいつも間に合わない
家事を効率よくこなせない
お金の管理が苦手
約束の時間にいつも間に合わない
約束を忘れてしまう
人の話を集中して聞けない
チックとは、限局した筋群に突発的、反復的に起こる不随意の運動や発生をいう。非律動的(不規則)に発生し、ストレスで増強し、睡眠時は消失する。生物学的な素因が発症の原因であるが、症状は心因的要因で変動する。
症状から運動チックと音声チックとに分けられ、それぞれ単純チックと複雑チック(複数の運動や発声の要素からなる)がある。すなわち、①単純運動チック(まばたき、顔しかめ、肩すくめなど)、➁単純音声チック(咳をする、ワンワンと吠えるなど)、③複雑運動チック(跳ねる、自分を叩くなど)、④複雑音声チック(状況に合わない特定の単語や語句の繰り返しを繰り返す。社会的に発音することがはばかれる特定の言葉、例えば卑猥な単語などを繰り返す場合には汚言症といわれる)と分類される。
チックの経過による分類からは、①一過性チック(持続期間が1年未満で、自然治癒に至る)、➁慢性チック(運動チックか音声チックのどちらかが1年以上持続する)、③トゥレット症候群(多発性運動チックと音声チックの両方が1年以上続く)とに分類される。
チック障害の一類型である(多発性運動チックと音声チックの両方がある)トゥレット症候群は、小児期から青年期に発症し、通常、成人期まで持続する。しばしばチック症状は強く目立ち、強迫性障害や衝動性の亢進などの精神症状も伴いやすい。外見が非常に奇異であるので(本来、神経学的疾患であるが)精神病者などとみられ、学校や社会から疎外されやすい。気分障害も併発し、症状や不適応を悲観して、ときに自殺行動にも至る。治療薬としてハロペリドール(セレネース®)を代表とするドーパミン拮抗薬が有効である。すなわちトゥレット症候群は、なんらかの生物学的要因(神経伝達物質のアンバランス)によっている。
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