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1型糖尿病障害年金第1次訴訟

1型糖尿病障害年金訴訟(大阪第1次訴訟)

支給停止処分取消等「再」訴訟

2019年4月の勝訴判決にもかかわらず、国は原告らに対して、5月中旬に相次いで再度の支給停止処分をしました。原告らに対する改めての現況調査もなにもありませんでした。前の裁判で理由を示していれば、原告らはこのような負担など負うこともなかったはずですで、司法判断軽視の国の姿勢に対し、憤りをもって、2019年7月3日、大阪地裁へ再提訴が行われました。

判旨を無視した再度の支給停止処分に対する抗議声明

1 はじめに

 1型糖尿病の患者である原告9名が障害基礎年金の支給再開を求めていた訴訟につき、大阪地方裁判所第2民事部は、去る平成31年4月11日、原告らの障害基礎年金の支給停止処分及び支給停止解除申請を認めない処分(以下「支給停止処分等」という。)を違法であるとして取り消すという、画期的な原告勝訴判決(以下「本判決」という。)を言い渡した。しかし、本年4月25日、厚生労働省は、国は本判決に控訴せず、原告らに対し、再度、詳しい理由を示して障害基礎年金の支給停止する処分及び支給停止を解除しない処分を5月中旬までに行う方針であると弁護団に通告してきた。かかる国の方針は原告の早期救済を期した本判決を正面からふみにじる不当かつ背信的なものであり、原告・弁護団は、これに強く抗議する。国ないし厚生労働大臣は、この方針を撤回し、原告らに対し速やかに年金の支給を再開するべきである。

2 本判決の意義~理由の書き方ではなく、そもそも理由を示せないようないい加減な支給停止が問題!

 本判決の言葉を引用すれば、受給権者にとって障害基礎年金が生活設計の礎であり、支給停止処分は原告ら受給権者の「生活の安定を損なわせる重大な不利益処分」である。このため、支給停止処分等をする場合は、処分によって被る不利益の重大性に見合った十分な理由を提示すべきであったにもかかわらず、国は、「結論のみを示したものと評されてもやむを得ないほど簡素」な通知書をもって原告らに対し障害基礎年金の支給を停止したとし、このような処分は違法であると認定した。本裁判の中で、年金事務所が処分理由の問合せに回答する際の資料となるという障害状態認定調書には結論の記載があるのみで、原告らの障害基礎年金2級を支給停止とする理由についての記載は、ほぼ白紙に近い状態だったことが明らかとなった。また、国は、原告らについて従前2級と認定判断してきたこととの整合性について一切説明しようとしなかった。このため、裁判所は、国に対し、「従前は障害等級2級に該当すると認定されていたものが、どのような差異によって今回は2級に該当しないと判断したのか」、また、「原告らについて従前から障害等級2級に該当しない者であったというのであれば、その旨を明らかにされたい」として、支給停止処分等の実質的な理由を説明・開示するよう再三求めてきた。それにもかかわらず、国は最後まで具体的な釈明を一切行うことができなかった。裁判所は、このような国の対応を踏まえ、国がまともに理由を示すことさえできないのに恣意的に不合理な支給停止処分等をしたと判断し、審理に時間を要する障害等級2級該当性の審理に及ぶことなく、あえて理由不備の違法のみを分離して取り上げることで、早期判決ひいては原告らの迅速な権利救済を可能としたのである。このことは、判決文を一読すれば分かることである。しかし、国は、このような裁判所の意図を一顧だにせず、問題を単に「理由を書くか、書かないか」という手続違反に矮小化し、本件裁判でまったく明らかにすることのできなかった理由を後付けすることで、再度、支給打ち切り、あるいは支給再開を認めない処分をしようとしている。これにより、原告らは支給ち停止とされた状態がさらに継続し、また、この処分を不服として再度の審査請求や新たな取消訴訟を提起せざるを得ず、かえって審理の長期化を招くものであり、本判決を逆手にとって、原告らに二重、三重の過酷な負担を強いるものと断じざるをえない。さらに、いくら行政手続法違反で処分が取り消されても、手続に沿って再度処分ができるとなれば、司法の違法判断は手続を振り出しに戻すだけのものとなり、住民の救済には一向に繋がらず、行政行為の適正化にも繋がらず、かえって紛争の長期化をもたらすだけとなり、同法の存在意義さえ否定する対応である。

3 国の対応は、背信的であること

 大阪地方裁判所は、行政事件訴訟法第37の3第6項の定めに基づき、原告1名につき、義務付けの訴えについて口頭弁論を分離し、取消訴訟についてのみ判決をしたものである。同項は、裁判所が、「審理の状況その他の事情を考慮して、取消訴訟のみ終局判決をすることがより迅速な争訟の解決に資すると認めるとき」に上記の措置を執り、取消訴訟のみについて判決することができると定めている。裁判所は、上記措置を執るに際し、平成30年9月12日の口頭弁論期日において、上記措置を執る考えを示した上で原被告双方に意見を求め、原被告とも異議がないと答えた。被告国が上記措置に異議がないと認めたことは、裁判所が「取消訴訟のみ終局判決することがより迅速な争訟の解決に資すると認める」ことに異議がないと認めるものであり、この応答を踏まえて、本判決は、厚生労働大臣において、原告1名に対する支給停止の解除の適否自体について再度検討することも考えられると認定して、上記措置を執ったことを明らかにしている。国ないし厚生労働大臣において、本判決は理由記載の不備を理由に原処分を取り消したことを捉えて、同一理由による再処分を行う可能性があることを明らかにしていれば、裁判所は、上記措置を執らず、原告らの2級該当性判断についても審理を進めて判断をしたことは確実である。国ないし厚生労働大臣は、上記対応によって、裁判所の訴訟進行についての判断及び上記認定を誤らせ、ひいては、原告らの2級該当性に関する審理を少なくとも10ヶ月にわたって遅延させたものであって、極めて背信的と言わざるを得ない。

4 1型糖尿病の特性から、支給停止はあり得ないこと

 そもそも1型糖尿病は、膵臓のβ細胞による体内でのインスリン生産がなくなることによって、様々な症状を生じる疾患であり、現時点では治療方法が存在せず、症状の改善が見込めない。障害基礎年金の支給停止の根拠法規である国民年金法36条2項は、「障害等級に該当する程度の障害の状態に該当しなくなったとき」に支給停止をすることができると定めている。しかし、従前、継続して2級に該当すると認定されてきた原告らの障害の状態が2級よりも軽くなるはずがない。国が再度、支給停止あるいは支給再開を認めない処分をすることは、障害を有する者の生活の安定が損なわれることを防止することを目的とする障害基礎年金の趣旨に反するばかりでなく、原告らの生活設計を崩すことによって、原告らの生存権を侵害するものであり、従前の侵害状態を更に継続させ、人権侵害を重ねるものであって到底許されない。

5 昨年の厚生労働大臣の答弁との矛盾

 原告らが支給停止処分等を受けた平成28年の翌年、平成29年には、障害基礎年金更新対象者3943名以上が支給停止処分を受け、又は支給停止の予告を受けた。しかし、その後、厚生労働大臣が国会で「障害状態の変化がなければ支給を継続する」旨答弁し、年金支給が再開された。このような取扱は前年に支給停止となった原告らにも当然適用されるべきものであり、行政取扱いにおける公平性、合理性及び恣意の抑制の観点からも国は原告らに対し速やかに障害基礎年金の支給を再開すべきである。

6 結論

 原告ら及び弁護団は、国に対し、本判決の趣旨に従い、再度の支給停止または支給停止解除申請を認めない処分をするとの方針を直ちに撤回し、速やかに原告らに対し障害基礎年金の支給を再開するよう強く求める。国がそのような処分をするというのであれば、原告らは同処分が違法であるとして新たな訴訟を提起する所存である。

                                        以上

                                平成31年4月26日

厚生労働大臣 根本匠 殿                              

                         1型糖尿病障害年金訴訟原告・弁護団

判決確定 

「国は控訴しない方針を固めた。厚労省関係者によると、国は事実認定を上級審で覆すのが難しいと判断したという。」と報道されました。(毎日新聞 2019年4月15日)

これで、第1審判決が確定することになります。

判決 原告勝訴

判決後の報告集会

2019年4月11日、大阪地裁第2民事部は、判決を言い渡し、原告は勝訴しました。

【弁護団声明大要】 障害基礎年金を受給する権利は、障害を持つ者の生存権を支える重要な権利である。厚労大臣は、突然、理由にならない理由で、一方的に、原告の障害基礎年金の受給権を侵害する処分を行った。本判決は、支給停止処分が「受給権者の生活設計を崩し、生活の安定を損なわせる重大な不利益処分である」とし、一転して、支給停止処分をしたことが、違法なものであったとして取り消したものであり、国の、障害基礎年金の受給権に対する安易な考えを断罪したものと評価することができる。かかる判決を言い渡した大阪地裁の英断を高く評価するものである。行政訴訟は長期間を要することも多いところ、本判決は、争点を絞って判断を示すという訴訟指揮を行うことによって、早期に判決を言い渡し、もって、原告の迅速な救済を図ろうとしたものと考えられ、その点でも、重要な意義を持つものである。本判決の趣旨に鑑み、国に対して、障害基礎年金が受給者の生活において有する重みに留意し、安易に不利益な処分をせず、十分慎重に検討し、受給権者の生活を不当に不安定にすることのない認定並びに判断の体制を構築するよう強く求める次第である。

【原告の声】 「裁判を起こして、より一層、障害年金の大切さを実感しました。寝たきりで訴えることさえできない人もいます。私は、訴えることができるだけでも幸せだという思いを胸に裁判を続けることができました。支えてくださった皆さまに感謝いたします。」

【判決の大要】 裁判所は、以下の理由から、本件支給停止処分等は、行政手続法の定める理由提示の要件を欠くものであるとして、原告の請求を認容した。 (1) 行手法14条1項本文(不利益処分の理由の提示)は、行政庁の判断の慎重と合理性を担保してその恣意を抑制するとともに、処分の理由を名宛人に知らせて不服の申立てに便宜を与える趣旨に出たものと解される。(2) 受給権者は、障害基礎年金が支給されることを前提に生活設計を立てることになるのであり、支給停止処分は、受給権者の生活設計を崩し、生活の安定を損なわせる重大な不利益処分である。一方、障害の状態について定めた令別表、処分基準である障害認定基準認定要領は、抽象的なものである。そうすると、支給停止処分については、いかなる事実関係に基づきどのように障害認定基準を適用して当該処分がされたのかを、当該処分の相手方においてその理由の提示の内容自体から了知し得るものとする必要性が高い。しかるに、本件支給停止処分の通知書には、処分の理由として、「障害の程度が法施行令に定める障害等級の3級の状態に該当したため、障害基礎年金の支給を停止しました。」と記載されているのみで、各障害の程度が1級・2級には該当しないとの結論のみを示したものと評されてもやむを得ないほど簡素なものである。そして、厚労大臣は、原告に対し、これまで、2級に該当すると認定して障害基礎年金を支給しており、2、3年に1度、診断書の提出を受けた後、「診断書により障害の程度を審査した結果、あなたの障害の状態は従前の障害の状態と同程度と認めますので、引き続き障害年金を支給します。」という記載のある書面を交付していたにもかかわらず、一転して、本件支給停止処分をしている。そうすると、前記理由の提示では、認定要領所定の症状検査成績及び具体的な日常生活状況等によって障害等級2級に該当すると認定しなかった理由が何ら明らかにされておらず、行政庁の判断の慎重と合理性を担保してその恣意を抑制するという趣旨を全うしていない。また、前記理由の提示では、原告において、不服を申し立てた場合、何が争点となるのか等の見通しを立てることは困難であり、不服申立ての便宜を図るという趣旨に照らしても不十分である。原告に対する本件支給停止処分は、いかなる事実関係に基づきどのように障害認定基準を適用して支給停止処分がされたのかを、原告においてその理由の提示の内容自体から了知し得るものであるということはできず、行手法14条1項本文の定める理由提示の要件を欠く違法な処分である。

【国への要請】 国(厚生労働大臣)は、障害基礎年金の受給権の重要性に鑑み、また、大阪地裁が本判決により原告らの迅速な救済を図ろうとしたことを重く受け止め、直ちに控訴を断念し、原告ら全員について速やかに障害基礎年金を支給するよう要請いたします。

第5回口頭弁論

第5回口頭弁論の報告集会

2019年2月8日、大阪地裁において第5回口頭弁論が行われました。

「年金機構からの支給停止通知に記載された処分理由が、行政手続法に規定される理由付記として十分か」という争点について、被告(国)は、以下のように反論していました。「①年金給付に関し、膨大な数の処分を行った上、限られた時間内に通知する必要があるため、通知の内容を定型化せざるを得ない、②こうした現状を踏まえ、年金事務所等では、受給権者から処分理由の問い合わせがあれば、事後に処分理由を説明して補う対応を講じていた、③その際、年金事務所等は障害状態認定調書をもとに処分理由を回答している。」

今期日では、これに対し、原告は以下のような意見陳述を行いました。「①平成29年度の支給停止対象者は全国で1010人に過ぎず、各地の年金事務所等で通知に個別の理由を書くことはできる、②処分理由は通知書の記載自体から明らかでなければならず、『事後説明』は理由の『後付け』であり、恣意的判断の温床となる、③証拠として提示した『障害状態認定調書』の『障害認定審査医員意見』欄は白紙であり、判断過程はどこにも書かれていないため、恣意的な判断かどうか検証できない。このように、被告の対応は、恣意的判断の抑制になっていない。よって、行政手続法の求める理由付記にはあたらない。」

理由付記についての双方の主張は出尽くしたことから、裁判長は、「弁論を終結し、次回期日において、判決を出します」と述べました。

期日後の報告集会で、原告のみなさんは、「裁判長の目をしっかり見つめ、『私達の訴えを認めて!』と一心に願いを届けた」と述べられました。

次回は2019年4月11日午後3時 大阪地裁大法廷で開かれ、いよいよ判決が言い渡されます。

第4回口頭弁論

第4回口頭弁論の報告集会

2018年11月21日、大阪地裁において第4回口頭弁論が行われました。

今期日では、原告は以下のような弁論を行いました。被告(国)は、原告に対し、「障害の程度が厚年法及び厚年法施行令に定める障害等級の3級の状態に該当した」という理由の記載をもって、障害年金の不支給処分を行っているが、理由付記の程度に関する最高裁判例に基づく基準を満たさず、行政手続法14条1項、8条1項に違反するから、これに基づく本件支給停止処分も違法となり取り消されるべきことも明らかである。

【上記の弁論について簡単に解説します。行政手続法8条1項・14条1項は、「申請拒否処分や不利益処分を行う場合、同時に理由の提示が必要である」旨を定めています。理由付記には、①恣意を抑制して処分の公正妥当性を確保する機能、②不服申立に便宜を与える機能があります。①恣意抑制・公正担保機能とは、理由を提示しなければならないとすれば、それだけ十分慎重な調査検討が必要になり、結果として恣意的判断が防止され、処分の公正妥当性が増すことになるというものです。②不服申立便宜機能とは、処分理由が提示されると、当該処分に対し不服を申し立てようとするとき、当該処分のどの点についてどのように争ったらよいのか、またそのためどのような証拠や資料を収集したらよいのかわかりやすくなるというものです。つぎに、理由付記の程度という論点があります。最高裁は「いかなる事実に基づいてどのような処分基準の適用によって当該処分が選択されたのかまで記載する必要がある」旨、判示しています(最高裁平成23年6月7日第三小法廷判決)。すなわち、最高裁は、行政庁が処分の理由として示すべき要素は、①処分の根拠規定、②処分の原因となる事実、③処分基準(審査基準)の適用関係、の3つである、という基準を示しています。ところが、本件における被告(国)の提示した上述の理由には、3つとも記載がありません。そのために、原告は、本件不支給処分が、いかなる事実に基づきいかなる法規を適用されたのかを全く知ることができません。これは、行手法14条1項・8条1項の立法趣旨に違反するものです。このような違法な手続を経てなされた本件不支給処分もまた違法となり取消されるべきです。】

これに対し、被告(国)は、年金給付に関し、膨大な数の処分を行った上、限られた時間内に通知する必要があるため、通知の内容を定型化せざるを得ないが、こうした現状を踏まえ、年金事務所等では、受給権者から処分理由の問い合わせがあれば「説明」をし、理由の提示を補う対応を講じている等と主張し、平成29・28年度中の支給額変更通知書の発送件数(約700万件)の報告書等を提出しました。

しかし、この報告書の発送件数は、原告のように支給額が「減額」されるものだけではなく、増額されるものや、定型的な通知で足りると考えられるものも含まれていました。

法廷では、弁護団長が、このような被告の態度は不誠実極まりない、と強く抗議をする場面もありました。

被告(国)は、原告の主張に対し反論は行わない予定とのことでしたが、裁判所から、被告(国)に対し、上記年金事務所等での「説明」について、具体的にどのような手順をとっているのか、書面にて回答するよう指示がありました。

次回の期日で弁論終結となり、本件処分の手続の違法性についての判断がなされる可能性もあります。

次回の裁判は、2019年2月8日午後3時 大阪地裁大法廷で行われます。

第3回口頭弁論

第3回口頭弁論の報告集会

2018年9月12日、大阪地裁において第3回口頭弁論が行われました。

平成29年にも、原告と同様に、障害年金受給権者の1010人が、支給停止処分の検討対象とされていました。ところが、新聞報道によると、1010人については、厚労省としては「支給継続を認める」方針であることが明らかになりました。その理由は、「障害の程度が変わらない場合、従前、別の医師が支給を認めていることを考慮した」というものです。原告と1010人は、平成28年に確認届を提出したか、平成29年に提出したか、単なる時期的な差異しかありません。にもかかわらず、原告だけが、現在も障害年金の支給を停止されたままです。そこで、原告は被告国に対し、①原告に対する支給停止処分を取消す予定はないか、②両者の間で扱いを異にする理由は何か、について釈明を求めました。しかし、被告国は、これについても、原告への支給停止処分を取消す予定はないと回答するのみで、その他の点については回答しませんでした。

厚労大臣は、国会答弁で、障害等級の認定に関し、「障害の状態が従前と変わらない場合には、前回の認定が、医学的に総合判断されたものであるということも踏まえて等級判断を行う」と述べています。そうすると、過去の状態と現在の比較は本件の争点には関連しないとする被告国の主張は、大臣の国会答弁と矛盾しています。

以上を踏まえ、今期日では、原告に対する支給停止処分を直ちに取消し、前述の1010人と同様に、支給が維持されるべきことを主張しました。仮に、支給停止処分を取消さないのであれば、被告国は、裁判長及び原告からの求釈明に対して正面から回答すべきことを求めました。

本件訴訟の争点は、①平成28年に2級に該当しなくなったと判断したことが違法であること、②支給停止処分の手続に違法があること(理由不備、行政手続法14条違反)の2点です。裁判長から、まずは、②の点について、双方、詳細な主張をするように指摘がありました。弁護団長は、被告国に対して従前の求釈明事項にも回答するように訴え、更に、裁判長からも、被告国に対して改めて検討するように指示がありました。

次回の裁判は、2018年11月21日午後3時 大阪地裁大法廷で行われます。

 

第2回口頭弁論

第2回口頭弁論の報告集会

2018年6月1日、大阪地裁において第2回口頭弁論が行われました。

原告は被告に対して、「原告ら8名について、それ以前と比較して、症状が改善・緩和されたと認定したのだとすれば、改善・緩和した症状を原告ごとに明らかにされたい。」旨の釈明を求めていました。

それに対する被告(国)からの回答は、「本件各処分を行うに当たり、原告らの障害の程度について、原告らの過去の障害の状態と各基準時の障害の状態を比較していないので、釈明の必要を認めない。」という趣旨のものでした(被告第1準備書面)。

原告は第2回口頭弁論において、改めて以下の様に主張しました。「『2級非該当』という判断となるのは、『診断書』と『障害認定基準』のいずれかに変化があった場合だが、本件にそのような事情は見られない。にもかかわらず、なぜ『2級非該当』と判断したのか、答えるべき必要性は高い。国は比較していないと言うが、国民年金法36条2項本文の文言や精神障害に係る等級判定ガイドラインの趣旨に鑑みれば、過去の障害と比較して判断すべきであることは明らかである。」

これをうけて裁判官は被告に対して、「原告の主張は首肯するに足るものであるので、被告は7月末までに書面で回答するように」指示しました。

口頭弁論後の報告集会において、弁護士は、「裁判長が、期限を切って回答を指示することは、めったにないこと」と評価していました。

次回の裁判は、2018年9月12日午前11時 大阪地裁大法廷で行われます。

第1回口頭弁論

1型糖尿病障害年金訴訟報告集会

2018年2月23日、大阪地裁で行われた1型糖尿病障害年金訴訟の第1回口頭弁論を傍聴し、報告集会に参加しました。

大阪の当事者を中心とする1型糖尿病患者会「近畿つぼみの会」の会員患者で障害状態確認届を提出した方の大半にあたる34名に対し、平成28年12月7日、一斉に障害年金支給停止処分・停止処分不解除決定等がなされました。症状改善などの事情が一切存在しないにも関わらず、理由も示されずに支給が停止されるのは違法であるとして、提起された訴訟です。

原告ご本人が証言台の前に立ち、意見陳述をされました。ご自身が使っている注射器を使い実演される場面もあり、インスリンを投与しながらの生活の困難さを訴えられ、裁判官は真剣に聞き入っていました。

社会保障費の伸びが、自然増分さえにも届かないように抑えられようとしている(閣議決定「経済財政運営と改革の基本方針2015」)中で、障害年金についても、その給付を絞ろうとする動きが強まっていると言われています。目に見えない障害(内部障害)である1型糖尿病に対する障害年金支給停止は、この動きと無縁ではないのではないでしょうか。

次回の裁判は、2018年6月1日午前11時 大阪地裁大法廷で行われます。

 

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