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双極性感情障害(躁うつ病)

事例28 「抑うつ状態と双極性とは相当因果関係あり」との主張が認められ、厚年2級受給

 就労継続支援B型(就B)の相談員からつぎのような相談を受けました。「明石さん(仮名 40代男性)は、本人が年金事務所で相談したのですが、『保険料納付要件を満たしていない』という理由で、書類ももらえなかったそうです。本当に障害年金を受給できないのでしょうか?」

 明石さんからヒアリングした受診履歴は以下の通りでした。「H25.12~A医院 抑うつ状態→H28.12~B医院 双極性感情障害→H30.10~C医院 双極性感情障害→R2.1~D医院 双極性感情障害」

 年金事務所職員は、「現在の『双極性感情障害』の初診日は、『H28.12,B医院』であり、同日を基準にすると、納付要件を満たしていない」と回答したそうです。

 しかし、「障害の原因となった傷病の前に相当因果関係があると認められる傷病があるときは、最初の傷病の初診日が初診日」となります。すなわち、初診日は「同一傷病の1番目」と機械的に決まるわけではありません。

 双極性感情障害の躁状態では、とても気分がよいので、本人には病気の自覚がありません。そのため、うつ状態では病院に行くのですが、躁状態のときには治療を受けないことがよくあります。

 明石さんの場合も「A医院でしばらく薬を飲むと、気分がよくなったので通院しなくなった。」と振り返っておられます。A先生は、明石さんの「うつ状態」の局面しか診ておられないので「抑うつ状態」と診断された、と推察されます。しかし、その後の病状の全局面からすれば、Aの時点で、すでに双極性感情障害が発病していたと考えられます。そうすると、現在の「双極性感情障害」と、初発の「抑うつ状態」とは相当因果関係がある、と認められます。

 本件では、「H25.12,A医院」が初診日であり、同日を基準にすると、納付要件を満たしていました。以上のように申立てた所、明石さんは障害厚生年金2級を受給することができました。

 明石さんのように、社労士に相談してくれなかったら、どうなっていたでしょう。年金事務所の職員におかれましては、マニュアル通りに機械的な判断が困難な場合は、上司に相談するなり、障害年金センターに照会する等、当事者に不利益にならないように慎重な対応をお願いいたします。

 

 石野さん(仮名 30代女性)から、次のような電話相談を受けました。「現在、H病院通院中で、双極性感情障害と診断され、精神障害者保健福祉手帳2級(以下「手帳」という)を所持しています。初診は、平成16年(21歳)、B病院です。しかし、市役所で『保険料納付要件を満たしていないので、障害年金は受給できません』と言われました。どうしたらよいでしょうか?」

 多くの病院を転々とされており、初診の記憶も曖昧な印象を受けたので、直接お会いして事情を伺うことにしました。「心の病気になったのは、どのようなキッカケでしたか?」とお伺いしました。すると、石野さんは重たい口を開いて、「実は幼い時から両親に虐待されていました。中学で給食後、突然、手・脚が震える発作が起こるようになり、先生に勧められてA病院に行きました」と教えて下さいました。

 調査したところ、石野さんの記憶の通り、平成9年(15歳)、公立A病院精神科初診の受診履歴が確認され、当時のカルテも保管されていたので、「受診状況等証明書」(初診日証明書)を作成して頂くことができました。初診日が20歳前(国民年金加入前)なので、保険料納付要件は不問になります。

 「当時の『適応障害』と現在の『双極性感情障害』とに相当因果関係があり同一の病気といえるか?」が次の課題です。現在のH病院の主治医の菊池先生(仮名)に相談しました。菊池先生は、「その時々の主治医の診断を確認する必要があるので、各医療機関から診療情報を得て欲しい」と指示されました。

 そこで、通院歴のある7つの医療機関から受診状況等証明書(以下「受証」という)を取得することにし、全ての医療機関を訪問して受証の作成を依頼しました。残念ながら5番目のE病院のカルテは廃棄されていましたが、それ以外の全医療機関から、前医からの紹介状が添付された受証を入手することができました。

 主治医の菊池先生は、全ての医療機関の受証と紹介状を精査され、「現在の双極性障害は、平成8年(14歳)に発症し、数多くの医療機関を経て現在に至る」という趣旨の診断書を作成して下さいました。石野さんの現在の病状は、全身倦怠・不安・憂うつ気分・希死念慮等の抑うつ状態が中心ですが、時に多弁・商品の買いあさり・易怒性等のそう状態が1週間以上継続して出現する、という状態です。

 私は、石野さんから、14歳の頃からの症状の移り変わりを詳しく聴き取り、病歴・就労状況等申立書を作成しました。その結果、石野さんは、障害基礎年金2級を受給されました。

 布川さん(仮名 30歳台女性)は抑うつ状態のため、いくつかの精神科を受診していました。当時の主治医で精神保健指定医の出川医師(仮名)に診断書を依頼しましたが、断られました。「デイケアのようなリハビリ施設を持っている医療機関でなければ、障害年金用診断書は作成できない」という理由でした。医師法第19条2項は「診察をした医師は、診断書の交付の求があった場合には、正当の事由がなければ、これを拒んではならない。」と規定しています。現にリハビリ施設が無くても診断書を作成している精神科医は多数存在しており、上記の理由は、「正当の事由」には該当しません。よって、出川医師の診断書作成拒否行為は、医師法第19条2項に違反します。困った布川さんは、当事務所に相談に来られました。

 私は、そのような医師に強引に依頼しても、よい結果は出ないと判断しました。そこで、友人の精神科医が紹介してくれた細川医師(仮名)への転医を提案した所、布川さんも承諾してくれました。数ゕ月間、継続して受診してから診断書を作成して頂くことになりました。

 次の関門は、初診日の証明書である受診状況等証明書(以下「受証」と言う)でした。布川さんは、厚生年金に加入していた平成19年11月に初めて精神科の桜井医院を受診しました。ところが、桜井医院は平成21年に閉院したために、受証を取得できませんでした。そこで、2番目に受診した浪速大学病院(仮名)を訪問し、受証を作成して頂きました。その受証には「前医からの紹介状有」と書かれていました。そこで、医療ソーシャルワーカー(以下「MSW」と言う)にお願いしてその紹介状のコピーを頂きました。ただ、残念ながら、その紹介状には、初診日の日付は記載されていませんでした。

 ここで諦めるわけにはいきません。大きな病院では、初診の前に問診表を記入させられることが通例です。そこで、MSWに尋ねてみると、案の定、当時の問診表が保管されていることが判りました。その問診表のコピーを頂くと、そこには「上記のような症状で他の病院で診察をうけた事はありますか?→はい、病院名 桜井医院(2007年11月頃)」と布川さんの筆跡で書かれていました。

 上記の紹介状と問診表を添付した「受診状況等証明書が添付できない申立書」と 浪速大学病院の受証とによって、初診日を証明することができました。布川さんは、無事に、双極性感情障害で障害厚生年金2級を受給することができました。

 

 香川さん(仮名 30歳台女性)から次のような相談を受けました。「10年前、入社直後から上司からしつこくセクハラ発言を受けたことが原因で、気分が落ち込み何も手につかない状態になり退社しました。初めて精神科を受診し、うつ病と診断されました。自分で障害年金を請求しようと思い、年金事務所で相談したら、『保険料納付要件を充たしていない』と言われました。どうすればよいのでしょうか?」

 香川さんは、学生時代に国民年金保険料を滞納し、入社して厚生年金保険に加入直後に退社したため、保険料納付の直近1年特例も3分の2要件も充たしていませんでした。

 発病後の経緯を詳しくヒアリングした結果、次のことが判りました。・1番目の病院は、Aクリニックで、初診は2009年12月~終診は2011年6月であった。・その後、軽快したので受診せず、服薬もしなかった。・正社員として再就職後、結婚し、普通に仕事も家事もこなしていた。・ところが、出産後再発し、2017年8月、2番目のB精神科を受診した。・病状が悪化したため、退職した。・現在もB精神科に通院しており、双極性感情障害と診断された。

 厚労省は、障害年金の制度上、「社会的治癒」という概念を導入し、その後に初めて医師の診察を受けた日を初診日として新たに発症したものとして取り扱っています。具体的には、以下の要件をすべて満たした場合に、社会的治癒と認められます。1.症状が固定し、医療を行う必要がなくなったこと、2.長期にわたり、自覚的にも他覚的にも病変や異常が認められないこと、3.一定期間、普通に生活または就労していること

 精神疾患の社会的治癒期間については、他の傷病に比べ状態に変調があることから一般的に5年程度の期間を要するとされています。

 香川さんの場合、2011年6月から2017年8月までの6年間以上、受診・服薬せずに、普通に家事・就労していましたので、社会的治癒が認められました。その結果、再発後の2017年8月が初診日とされました。香川さんは、その当時、正社員であり厚生年金保険に加入していたので、保険料納付の直近1年特例が適用されました。香川さんは、障害厚生年金2級を受給することができました。

 なお、香川さんの病状については、当初は「うつ病」と診断されていました。しかし、気分の浮沈が大きく、気分が沈むと運動抑制や思考抑制が強くなりました。その一方で、抗うつ薬を服用するとすぐ気分は改善しましたが、高額な買い物を次々にしてしまったり、同時に複数の事をやろうと手を広げてしまう傾向がありました。そこで、主治医は「双極性感情障害」であると判断され、診断名が変更されました。

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事例29  10年以上前の『パニック障害』で初診を証明

 このホームぺージをご覧になった神田さん(仮名 30代女性)は、次のように相談されました。「自分で手続きしようとしましたが、初診が十年以上前で、何軒も転院していたので、初診証明ができず、障害年金は諦めていました。しかし、病状(双極性感情障害)が悪化したので、やっぱり申請したいので、代行をお願いします。」

 本件の課題は、「初診日は10年以上前のA医院でカルテが廃棄されている」、「当時の診断名は『パニック障害』で、現在の双極性感情障害との相当因果関係が認められるか」です。

 2番目のB医院のカルテも廃棄されていました。3番目のC先生に問い合わせると、「カルテに『平成21年1月頃からパニック発作みられA医院通院、以降B医院に転院するも前医とあわず、平成25年4月26日、当院初診、気分障害と診断。』と書いている。」というお返事でした。

 この経緯を C先生に「受診状況等証明書」に書いて頂き、A・B医院についての「受診状況等証明書が添付できない申立書」と共に提出しました。さらに、「代理人の初診日についての申立書」を作成し、「初診時のパニック障害と現在の双極性感情障害とは、相当因果関係がある」旨を主張しました。その結果、神田さんは、障害基礎年金2級を受給できました。

 パニック障害は、さまざまな精神疾患と併発することがあります。双極性感情障害も例外ではなく、双極性感情障害の方がパニック障害でもあるということは珍しいことではありません。パニック障害とは、不安感、電車に乗っているとき、会議中などがきっかけでパニック発作が起きる病気です。発作の症状は、動悸、発汗、頻脈、息苦しさ、めまい、過呼吸等の異常とともに、強い恐怖や不安を感じ、「このまま死んでしまうのでは」と思ってしまうというものです。このようなパニック障害と双極性感情障害は併発してしまうことが珍しくありません。その場合の双極性感情障害の症状は、急速に躁状態とうつ状態が入れ替わってしまう方が多い、と言われています(ラピッドサイクル)。

 このような理由で、初診時の「パニック障害」と現在の「双極性感情障害」との間の相当因果関係が認められました。

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