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事例23:シンナー使用のため却下→審査請求で変更2級受給

 太田さん(仮名 40代女性)は「シンナー使用が原因で不支給になった。審査請求(不服申立)をお願いします」と電話してこられました。ところが、その時点ですでに審査請求のタイムリミットの3ゕ月を過ぎてしまっており、しかも診断書も「却下決定通知書」も捨ててしまった、というあり様で、まさにお手上げ状態でした。

 対応策検討のために、夫同伴で面談しました。シンナー使用実態の質問に「中学1年の時に(34年前)4~5回吸引しました」と答えられました。「現症に影響するはずがない」と直感しました。太田さんは「いまの先生は、ちゃんと話を聞いてくれない」と主治医に不信感を抱いている様子でした。そこで、連携している平田医院(仮名)に転医することになりました。

 太田さんは、幼少期から両親に虐待され、小学4年頃から、逃れるために家出を繰り返すようになり、中学入学後、完全に実家を出て先輩のA子宅に身を寄せるようになりました。A子にシンナーを勧められ、太田さんは「A子宅に居られなくなる」との思いから断りきれず、吸引しました。しかし、気持ち悪くなり吐き気・頭痛を催しました。親友B子に相談すると「二度と吸ったらあかん」と説得され、Aとの関係を断ち、シンナー使用も終了しました。

 1回目の請求が却下された原因は、前医の診断書に「中学1年から完全家出でシンナー毎日1年程度非行窃盗喧嘩など繰り返す」と書かれたためです。そのことは、後から保有個人情報開示請求によって判明しました。しかし、「毎日1年程度」繰り返されたのは、家出・非行であって、シンナー使用ではありません。前医が初診時に、太田さんから聴取した事実を誤ってカルテに記入してしまったのです。

 平田先生は、太田さんを1年間診察・治療して、シンナー使用の現症への影響は無いと判断され、統合失調症で診断書を書いて下さり、再請求しました。ところが、またしても「シンナー使用による影響が混在しており、統合失調症のみの障害の状態を認定することができない」という理由で、却下されました。

 太田さんは、審査請求を希望されました。保有個人情報開示請求により入手した障害状態認定調書で、認定医は「前回診断書より初診前にシンナー使用歴が確認でき、シンナー等有機溶剤の脳に与える影響はあなどれず、また生育過程(中1)で使用していることから混在しており認定不可」と述べています。

 争点は「34年前のシンナー使用の現症への影響の有無」です。審査請求において、以下のように主張しました。「たしかに、たとえ少数回であっても生育過程での使用がもたらす深刻なダメージは軽視できず、例えば『16歳男子が、12~13回位シンナーを吸引したところ、失明に近いような重大な視神経の障害が生じた』ケースもある。しかし、当職が指摘したいのは、生育過程での使用のダメージが大きければ大きいほど、上述のケースのように、その影響は、使用直後に即座に発現するはずである、という点である。もし仮に、前回診断書にいう『中学1年からシンナー毎日1年程度』(365回)使用したならば、直後にいかなる病状が生じるはずであろうか。ところが、請求人には、使用直後において、『失明、歯がボロボロ、筋肉萎縮』等の身体的障害も、『幻視、幻聴、妄想』等の精神的障害も皆無であった。請求人の病歴の概要は【第一期:シンナー最終使用後の9年間、病状はまったく発生せず。第二期:その後の21年間、女手一つで大型免許取得・トラック運転手と子育てを両立 そのストレスにより不眠等の神経症圏の症状出現、精神科初診。第三期:直近5年間、親友による金銭の詐取という重大ストレスにより、精神病の病態(妄想・幻覚等の異常体験)初発。】である。かかる病状の経緯は、現症が統合失調症であることを合理的に根拠づけるものである。では、認定医主張のように、シンナー使用の影響によって、病状の経緯を説明しうるのであろうか?シンナー最終使用後9年間はなんらの病状も出現せず、18年後に動因喪失症候群(有機溶剤精神病の症状 集中力・意欲の低下、無気力等)が出現し、30年後に妄想・幻覚が出現することが、医学的にありうるのであろうか。保険者に、具体的に、いかなる症状・経過を根拠として「シンナー使用による影響」を認定したのか、立証すべき責任がある(国民年金法70条は権利障害規定)。」

 5ゕ月後、年金機構より「処分決定の変更」の通知が届き、太田さんは、ようやく障害基礎年金2級を受給することができました。太田さんは「年金がもらえることはうれしいけど、何回も『シンナー使用したからダメ』と言われ続けたのに、『変更』のひと言だけでは、この間の苦しみは癒されません」と述べておられます。

 令和3年3月4日、通達「違法薬剤の使用に係る給付制限の取扱いについて」(年管管発0304第6号)が発出されました。違法薬剤使用によって生じた障害と関わりなく生じた障害が併存・増進(混在)の場合でも、関わりなく生じた障害について審査・判断を行う旨、規定しています。今後、この通達の趣旨が徹底されることを期待します。

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